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dz:ndd:sma

脊髄性筋委縮症 SMA

  • SMN1(survival motor neuron) の欠失ないし SMN2への置換が原因
    • SMNタンパクが合成されない
      • I,II型の 95%に染色体 5q13.1 に存在する SMN1 遺伝子欠失
      • III 型の約半数,IV 型の 1-2 割において SMN1 遺伝子変異
    • SMN1 遺伝子のエクソン 7-8 領域は 90%以上の SMA 患者の欠失共有領域
      • この欠失の同定が現時点でもっとも検出率の高い診断方法.
      • またヒトは SMN1 遺伝子とほぼ同一の SMN2 遺伝子のコピーを少なくとも 1 つ有しているが,SMN2 のコピー数が増えると軽症型になり発症年齢も遅くなる
  • 側湾はSMAでよく認める(小児発症例の50%以上)
  • ALSと違い LMN障害のみの疾患であるため腱反射は低下〜消失し,クローヌスは認めない
  • 本邦では指定難病
    • また一部の自治体でのみ行っている新生児拡大マススクリーニングの対象に含まれる(2022現在)
  • アンチセンスオリゴ核酸薬であるヌシネルセン(スピンラザ®️)髄腔内投与の適応
    • ただし実際には側湾で手技が難しく,X線透視下投与などを要する
    • SMN1 遺伝子の欠失又は変異を有し,SMN2 遺伝子のコピー数が1以上であることが適応条件
    • はじめは sham control で SMN2 2コピー以上有する SMA乳児を対象とした髄腔内投与の試験が行われ,明確な差を以て中間解析で途中中断1)
I型重症型,急性乳児型.Werdnig-Hoffmann 病.フロッピーインファントで出生し,嚥下困難・呼吸不全を呈する.肋間筋に対して横隔膜の筋⼒が維持されているため,吸気時に腹部が膨らみ胸部が陥凹する奇異呼吸を⽰す.⾆の線維束性収縮がみられ,深部腱反射は消失,⼿の尺側偏位と ⼿⾸が柔らかく屈曲する形の wrist drop.死亡年齢は平均 6~9 ヶ月,24 ヶ月までにほぼ全例が死亡する.
Ⅱ型中間型,慢性乳児型,Dubowitz 病.発症は1歳6ヶ月まで.坐位保持可能となるが,次第に側弯・関節拘縮が⽬⽴つようになる.舌の線維束性収縮,手指の振戦がみられ,次第に側彎が著明になる.呼吸器感染に伴って,呼吸不全を示すこともある.
Ⅲ型軽症型,慢性型.Kugelberg-Welander 病.I,II型に⽐べ症状は軽く自立歩行を獲得する.いが,近位筋優位の筋⼒低下を呈する.1 歳 6 か⽉以降の発症で次第に側弯,歩⾏困難がみられる.
IV型成⼈期以降の発症.SMN1 遺伝子変異も見られることがあるが,孤発性で成人から老年にかけて発症することもある.緩徐進行性で,上肢遠位に始まる筋萎縮,筋力低下,筋線維束性収縮,腱反射低下(LMN徴候).これらの症状は徐々に全身に拡がり,運動機能が低下する.また,四肢近位筋,特に肩甲帯の筋萎縮で初発する場合もある
1)
NEJM 2017;377:1723-1732
dz/ndd/sma.txt · 最終更新: 2023/11/16 by admin

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