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dz:ndd:pnfa

進行性非流暢性失語 PNFA

  • progressive non-fluent aphasia
  • bvFTD, 意味性認知症 SDと共に前頭側頭型認知症(FTD)の一型
    • 背景病理としては Pick病(3R-Tau)のほか, PSPCBD(4R-Tau)が多い
  • 名称の通り,流暢でない点がSDとの最大の相違点
    • 発話における失文法,不規則な音韻の誤りや歪み (日本語にない発音)が特徴
    • プロソディ(音の上げ下げ・区切る位置・長さや強弱)がうまく調節できない
    • 単語レベルの理解は保たれるが, 文法的に複雑な文の理解は障害される.
    • 努力性の発話で,発話の開始困難を伴い,発話中にしばしば途切れる
  • 言葉の誤りに一貫性を欠く.

典型的な口調

「おきょつさん…はなすのときに… せ…せっこくせいがない」 (お客さんと話すときに,積極性がない)

▲ 失文法

「ぶ…ぶ…びょ↑いん…いくの…たいへん」 (病院に行くのが大変)

▲ 発話の開始困難,発語失行

  • 発語失行
    1. 構音の誤りの多発
    2. 構音の誤りの浮動性
    3. 発語に際しての構音器官の模索的動きと自己修正
    4. プロソディー(音の上げ下げ・区切る位置・長さ強弱)障害

診断基準

  • Gorno-Tempiniらによる診断基準1)
    • 以下の 3 つすべてを認める.
      1. 言語の障害が最も顕著である
      2. 言語障害は日常生活の障害の主要原因
      3. 失語は初発症状で,罹病早期は主症状である
    • 以下の 4 つの除外
      1. 症状の様式は他の非神経変性疾患もしくは内科的疾患でよく説明できない
      2. 認知障害は精神疾患でよく説明できない
      3. 顕著なエピソード記憶,視覚性記憶,視空間認知障害がない
      4. 顕著な初期の行動障害がない2)

  • Ⅰ.臨床診断
    • 中核症状;以下の 1 つ以上を認める.
      1. 発話における失文法
      2. 努力性で滞りのみられる発話,不規則な音韻の誤りや歪み(発語失行)を伴う
    • その他の症状:以下の 2 つ以上を認める.
      1. 文法的に複雑な文の理解障害
      2. 個々の単語理解は保たれる
      3. ものについての知識は保たれる3)
  • Ⅱ.画像を含めた診断(以下の 2 つを認める)
    1. 臨床診断が非流暢性 / 失文法型失語である
    2. 画像は,以下の結果の 1 つもしくはそれ以上を認める
      1. MRI にて左前頭葉後部から島優位の萎縮
      2. SPECT もしくは PET にて左前頭葉後部から島優位の血流低下もしくは代謝低下
1)
Neurology. 2011 ; 76 ( 11 ): 1006 - 1014
2)
bvFTDの除外
3)
意味性認知症 SDとの違い
dz/ndd/pnfa.txt · 最終更新: 2022/10/07 by admin

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