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進行性核上性麻痺 PSP
Tips
- 病理学的にはCBD同様,4repeat Tauopathy(4RT)に分類される
- 病初期からすくみ足や姿勢反射障害,後方転倒を認める点がPDとの最大の鑑別点
- 他,左右差のない体軸優位の筋強剛 axial rigidity も重要
- 臨床的に進行性非流暢性失語 PNFAを呈することがある(PSP-SL)
- すくみ足は PD 同様,眼前の障害物を乗り越えようとすることで改善する(逆説性歩行 kinesie paradozale).
- Myerson徴候が強い割に自発的瞬目は非常に少なくなる
- Applause sign(拍手の保続)はよく陽性になる
- 核上性の垂直性眼球運動障害は上方視障害から出やすい
- DATscanの取り込み低下は,尾状核と被殻が同程度に落ちる(PDでは被殻の取り込み低下の方が目立ちやすい)
臨床病型
- 剖検例の検討では,RSタイプはむしろ 1/4 程度との報告あり
- 臨床的な病型分類として Richardson症候群(PSP-RS)の他,以下がある
- PSP-OM(眼球運動機能異常)
- PSP-PI(姿勢保持障害)
- PSP-P(孤発性PDに類似するパーキンソニズム)
- PSP-F(bvFTDを含む前頭葉性の認知行動症状)
- PSP-PGF(進行性すくみ足)
- PSP-CBS(大脳皮質基底核症候群)
- PSP-PLS(原発性側索硬化症)
- PSP-C(小脳性運動失調症)
- PSP-SL(非流暢性/失文法性の原発性進行性失語症(nfaPPA)および進行性発語失行 AOS を含む発語・言語障害)
診断基準
NINDS-SPSP(1996)
- NINDS-SPSPの診断基準1)が PSP-RSの特徴をよく著している
- 必須項目:緩徐進行性,40歳以上の発症
- Probable:垂直性核上性注視麻痺と発症後1年以内に生じる転倒を伴う姿勢保持障害
- 除外項目として,他人の手徴候,局所性の前頭-側頭頭頂葉萎縮,L-dopa治療に無関係の幻覚・妄想,早期の著明な小脳性運動失調,自律神経障害,高度な非対称性パーキンソニズム,基底核や脳幹の梗塞
- 支持的所見として,左右対称性の無動・筋強剛,近位部優位,Lドパ反応性の欠如,早期からの嚥下・構音障害,早期からの認知機能障害(無感情・抽象的思考の障害・語彙の流暢性低下・模倣行為・前頭葉徴候)
MDS-PSP基準
- 2017年にMDS-PSP基準が提案された2)
- 以下の4つの中核機能ドメインにおいて3段階の臨床的特徴を確認し層別化する診断基準である
- 眼球運動機能異常(O),姿勢保持障害(P),無動(A),認知機能障害(C)
病理
tuffed astrocyte 画像 Fig1a 3) 画像 | 房状アストロサイト.アストロサイトヘの異常リン酸化タウの蓄積.細胞体〜近位軸索に認める.tau病理の1つ.PSPの病理学的指標として重要. |
coiled body 画像 Fig1b 4) | オリゴデンドログリアの細胞体や近位突起にリン酸化タウが蓄積したもの. tau病理の1つ.CBDやPSPで認める. |
globose neurofibrally tangle 画像 | 神経細胞は細胞数の減少とともに globose NFTをきたす.電子顕微鏡においては,12-15 nm の直線状線維として確認される.病変は淡蒼球・視床下核・黒質病変はおおむね全例でみられる.次いで視蓋,上丘,動眼神経核,被蓋病変の頻度が高い |
dz/ndd/psp.txt · 最終更新: 2022/11/18 by admin