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dz:ndd:inph

特発性正常圧水頭症 iNPH

  • idiopathic normal pressure hydrocephalus;iNPH

概要

  • 慢性硬膜下血腫に並び,代表的な treatable dementia の1つ
  • 本邦では有病割合0.2~3.7%,罹患率およそ120/10万人年と推定されている1)

症状

  • 尿失禁・認知機能障害・歩行障害
  • 原則としてパーキンソニズムは認めない

典型的なpresentation

  • 数年前から歩行スピードや認知機能低下を指摘されていて家族が心配して連れてくる.
  • 歩容は歩幅が狭く(small-step gait),足の挙上低下(magnet gait)を認め,開脚歩行(wide-based gait).タンデム立位,タンデム歩行はいずれも困難.
  • 夜間頻尿,尿失禁ですでに OAB として泌尿器科の薬が入っていることがある

診断

  • definite とするためにはシャントresponderが必要条件
  • DESH所見の有無はシャント奏功率との相関関係が指摘されており,診断的価値が高い

鑑別診断

  • 鑑別となる認知症疾患は多岐に渡る点が難しい.
  • 特にiNPHでは白質病変を広範に認めることもあり,皮質下性血管性認知症との鑑別が難しい.
  • 頻度の高いアルツハイマー型認知症との合併もしばしば問題となり,認知機能障害に関しては手術後に十分な改善が得られない場合も少なくない.
    • そこで手術適応を考える際に参考となるのが,タップテスト前後のTUG改善度
    • 本邦の前向きコホート研究(SINPHONI)では,タップテスト後にTUGが5秒以上改善していれば,シャント術後にTUGが10秒以上改善する確率が40%,少なくとも5秒以上改善する確率が65%であったとされている2)

検査

採血除外的にアンモニア,甲状腺,梅毒,ビタミンB1,B12,葉酸,ホモシステイン等
髄液検査tap testを兼ねて提出する.初圧を含め,原則すべて正常範囲.
脳CT/MRI脳室拡大,高位円蓋部脳溝の消失,シルビウス裂拡大 ⇒ DESH(Disproportionately Enlarged Subarachnoid-space Hydrocephalus).ただしDESHは陽性的中率が高い一方,陰性的中率は低いとされる.Evans index > 0.3.
tap test腰椎穿刺前にTUG,短距離直線歩行 10m,MMSEなどを計測.iNPH grading scaleを採点しておく.タップテストでは1回の腰椎穿刺で30mLの脳脊髄液を排除する.翌日の再検で改善を認めれば,脳シャント術適応がありうる.術後2週間時点でもTUGは15秒,10m歩行を確認する.
SPECTCAPPAHサイン(高位円蓋部の血流増加)

治療

  • iNPH患者がシャントの恩恵を最大限に得るには,診断後すぐに介入すべきであるとされている.
    • 早期治療群と3ヶ月待機群の比較試験で,1年後MMSEスコアの改善度が前者は平均2.6点,後者は平均1.2点に留まったという非盲検の本邦RCT報告があるため3)
1)
特発性正常圧水頭症診療ガイドライン 第3版
2)
Neurol Clin Pract 7: 98-108, 2017
3)
Lancet Neurol 14: 585-594, 2015
dz/ndd/inph.txt · 最終更新: 2022/12/11 by admin

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