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dz:mbd:ctx

脳腱黄色腫 CTX

  • Cerebral tendon xanthomatosis(CTX),27-ヒドロキシラーゼ欠損症
  • 常染色体劣性遺伝性疾患(AR)

概要

  • CYP27A1遺伝子異常 ⇒ CYP蛋白である27-ヒドロキシラーゼ(CYP27)活性が低下 ⇒ 神経組織や腱組織にコレステロールやコレスタノール1)が蓄積2)
  • 学童期からの下記症状が典型
    • 進行性神経障害
      • 知能低下 48〜70%,精神症状 44〜61%
      • 錘体路症状(痙性歩行) 64〜100%
      • 小脳失調 36〜89%
      • 稀に パーキンソニズム 9〜20%,てんかん 10〜30%
      • 末梢神経障害も 60〜70%報告あり(自覚症状がないNCS異常も含む)
    • 若年性白内障(〜10歳台まで)
    • 腱黄色腫 画像(20歳頃〜) ※ないこともある
    • 若年性骨粗鬆症(〜30歳台まで)
    • 早発性心血管疾患 ⇒ 予後規程因子
  • 新生児期の黄疸・胆汁うっ滞,幼児期からの慢性下痢が先行する(が大抵そこで診断はつかない)
  • 2015年から特定疾患として認定されている3)

疫学

  • 本邦では60例ほどの報告がみられる
  • 20歳以前に多くが発症する
  • 遺伝子データベースからは東アジアで65000人に一人程度の発生と想定されており,本邦では過小診断の可能性がある

検査

採血血清コレスタノール高値が重要(本邦ではSRLで測定可)
本邦の全国調査では 21.1±10.5 μg/mL(±SD),健常者は 2.35±0.73
脳 MRI 画像 両側性に小脳歯状核,小脳脚,淡蒼球,皮質脊髄路(内包後脚など),脳室周囲白質に T2WI/FLAIR high(T1WI low)
頻度は歯状核が 63%~79%,皮質脊髄路が 33%~86%,淡蒼球が 5%~86%,脳室周囲白質が 20%~100%と報告されている4)
脊髄MRI 頚髄~胸髄の側索・後索に T2WI 高信号を認めることもある(症状としてミエロパチーを呈する)
NCS 軸索障害も脱髄も報告がありどちらが主体かは評価が一定しない.神経生理学的検査でのみ検出される潜在性障害も含めると 41%~79%と高頻度に認められる.

治療

  • CDCA(ケノデノデオキシコール酸)の補充
    • 保険適応外だが,スタチンや LDL-アフェレーシスを試みる場合もある

参考

  • 小山 信吾, 脳腱黄色腫症の診断と疾患修飾療法, 神経治療学, 2021, 38 巻, 3 号, p. 378-383 J-stage
  • J Atheroscler Thromb. 2021 Sep 1; 28(9): 905–925. PMC8532057
1)
コレステロールに類似した構造を示す物質
2)
先天性ステロール蓄積症
dz/mbd/ctx.txt · 最終更新: 2022/09/16 by admin

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