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dz:mbd:alxdrd

Alexander病 ALXDRD

概要

  • Alexander disease; ALXDRD
  • Glial fibrillary acidic protein (GFAP) 遺伝子変異が原因
    • 成人型は常染色体優性遺伝(AD)が多いが,乳児・若年はほとんどが de novo変異.
  • 一次性アストロサイト疾患
    • GFAP(グリア線維性酸性タンパク)は,アストロサイト特異的な中間径フィラメント
  • 最初の報告から長期にわたり小児期発症の大脳白質疾患(白質ジストロフィーの1つ)とされてきた
  • 成人期発症の延髄・脊髄に病変主座をもつ型(late-onset ALXDRD)が認知されたのは 21 世紀以降
  • late-onset ALXDRD を鑑別に上げる際にポイントになるのは
    • 家族歴
    • 若年時からの軽度の筋力低下〜嚥下障害の進行
    • 腱反射異常,バビンスキー徴候陽性
    • 延髄の症候:構音・嚥下障害,発声障害,口蓋ミオクローヌス(⇐Guillain-Mollarret三角
    • 延髄・上位頚髄の信号異常又は萎縮
      • 相対的に橋底部が保たれてオタマジャクシ様 tadpole appearance
      • T2強調画像における信号異常や造影効果を伴う像
      • 萎縮を伴わない結節性腫瘤像

疫学

  • 本邦の有病者数は約50名,有病率は1/270万人1)

症状

  • 本邦では主に以下の3つに分類
  • 難病情報センター2)より一部抜粋
1型 大脳優位型 主に小児科領域の疾患.乳幼児期発症.痙攣,大頭症,精神運動発達遅滞をきたす.
頭部MRIでは前頭部優位の広範な大脳白質異常を認める.機能予後不良の重症例が多い.
2型 延髄脊髄優位型 学童期〜成人期以降の発症.神経学的所見として筋力低下,痙性麻痺,球症状をきたす.
MRIでは延髄・頚髄の信号異常あるいは萎縮を認める.1型に比べると進行は緩徐である場合が多い.家族内発症が多く,無症候の症例も存在する
3型 中間型 1型及び2型の両者の特徴を有する型.発症時期は幼児期〜青年期まで幅広い.1型の長期生存例において2型の特徴が後に現れることがあるが,これも本型に含める

病理

  • 病理学的にはアストロサイト細胞質のローゼンタル Rosentahal 線維が大量に出現するのが特徴的所見
    • eosinによく染まる,好酸性の太い突起として現れる(HE染色で診断可)

治療

  • 近年,変異 GFAP の発現抑制を標的とした治療に関する基礎研究が報告されている

参考文献

  • 「アレキサンダー病の臨床的特徴と診断基準」 臨床神経 2020;60:581-588J-Stage
1)
J Neurol . 2011 Nov;258(11):1998-2008. PMID21533827
dz/mbd/alxdrd.txt · 最終更新: 2022/10/07 by admin

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