dz:nmd:nemaline_myopathy
ネマリンミオパチー
- 形態的にネマリン小体の存在により特徴づけられる疾患概念
- 臨床的には先天性ミオパチ─として発症する例から成人発症例まで幅広く存在する
- 先天性ミオパチーの中では最も頻度の高い疾患の1つ
- 狭高口蓋,歩行可能時からの呼吸筋障害が有名
- 複数の遺伝子が関与する(以下の前4つが多い)
- ACTA1,NEB,KLHL40,KLHL41,TPM3,TPM2,TNNT1,CFL2,KBTBD13,LMOD3
- 遺伝学的にも常染色体優性〜劣性遺伝形式をとるもののほか,孤発例もある
- 成人発症例には以下の2パターンがある
- 症状が軽微〜無症候であった先天型ネマリンミオパチーが成人期になって診断がつく場合
- 後天的な孤発性成人発症例(狭義の成人型)
- HIV感染に関連したネマリンミオパチー
- MGUSを伴うネマリンミオパチー(SLOMN-MGUS)
- HIV陰性・MGUS陰性
- これらは治療反応性や予後に差があるとされる
- HIV関連が治療反応性良好,MGUS関連が不良
SLONM-MGUS
- SLONMの中でも予後不良群
- ステロイドなどの免疫学的治療に反応しない
- IVIgでは一時的症状改善や進行抑制の報告があるが,効果は限定的かもしれない
- メルファラン大量療法に続く自己末梢血幹細胞移植で長期予後達成の報告がある
SLOMN-MGUS の臨床像
- 中高年期に進行性の筋力低下(平均50歳ほど)で発症する
- 比較的急速に進行する呼吸不全で死亡に至る
- 分布は近位優位,遠位優位いずれも報告がある
- 顔面・体幹筋力低下や構音嚥下障害,首下がりを呈しやすい
- CKは基準値範囲内〜せいぜい軽度高値
- Mタンパクは IgGκも IgGλ も報告がある
- 針筋電図は筋原性変化
病理像
- ネマリン小体(Z帯タンパクの過剰生成による)を認める
- ネマリン⼩体の数と重症度は全く関係がない
- 他の疾患でも認めることがある非特異的所見であり,診断には慎重を要する
- 後天性の場合は細かいネマリン小体を認める
参考文献
- 「SLONM-MGUS」 BRAIN and NERVE 67(12): 1515-1521, 2015
dz/nmd/nemaline_myopathy.txt · 最終更新: 2022/10/07 by admin