内科のメモ帳

ずぼらな覚え書き

ユーザ用ツール

サイト用ツール


dz:nmd:cms

先天性筋無力症 CMS

  • CMS:congenital myasthenic syndrome
  • 本邦の指定難病1)
  • 神経筋接合部 NMJ 分子の先天的な欠損及び機能異常により筋力低下や易疲労性を来す疾患
  • 複数の原因遺伝子異常が同定されている
    • CHRNA1,CHRNB1,CHRND,CHRNE,COLQ,AGRN,LRP4,MUSK,LABM2,RAPSN,DOK7,CHAT,SCN4A,GFPT1,DPAGT1,ALG2,ALG14,PLEC,PREPL
終板アセチルコリン受容体欠損症 AR アセチルコリン受容体が欠損.
抗コリンエステラーゼ剤や 3,4-ジアミノピリジンを用いる.
スローチャネル症候群 AD アセチルコリン受容体のチャネル開口時間が異常延長する
成人発症も多い(“先天性”筋無力症に分類されるが…)
キニジン,フルオキセチンンを使用する.
ファーストチャネル症候群 AR アセチルコリン受容体のチャネル開口時間が異常短縮する.
抗コリンエステラーゼ剤や 3,4-ジアミノピリジンを用いる.
Naチャネル筋無力症 AR 骨格筋ナトリウムチャンネルの開口不全を起こす.
アセタゾラミドを使用する.
終板アセチルコリンエステラーゼ欠損症 AR アセチルコリン分解酵素が欠損する.
エフェドリンを用いる.
発作性無呼吸を伴う先天性筋無力症 AR 神経終末のアセチルコリン再合成酵素が欠損する
乳児突然死症候群の原因になる.

症状

  • 出生直後から啼泣や哺乳力が弱いことが多い.なんらか2歳以下までに症候が明確となる
    • 呼吸困難のために人工呼吸器が必要になるという重度の筋力低下がある場合も
  • 出生直後の症状は一旦軽快する先天性ミオパチ─と類似経過)
  • 幼少児期に再度,持続的な筋力低下やMG様の易疲労性の筋無力症状が出る。
    • ただしMGと違い日内変動は明らかではなく,むしろ日差変動を認める(日ごとに筋力が異なる)
  • 眼球運動障害はあることもないこともある
  • 高口蓋,両耳の付け根が高いといった顔面小奇形を認めやすい
  • 四肢の筋萎縮もしばしば認める

診断

  • 2才以下発症の骨格筋易疲労性,骨格筋低形成,反復神経刺激による異常な複合筋活動電位の減衰で疑う
  • 基本的に遺伝子検査で診断する
  • 臨床補助診断としては以下が必須
    1. 重症筋無力症 MGの除外:抗AchR抗体,抗MuSK抗体,抗LRP4抗体の陰性確認
    2. 反復神経刺激による異常な複合筋活動電位の減衰(waning)

予後

  • 進行性の疾患ではないが,呼吸器系合併症(誤嚥性肺炎など)が多い
  • 脊柱筋の脱力で側湾をきたすケースはある
1)
難病情報センター 指定難病12
dz/nmd/cms.txt · 最終更新: 2022/10/07 by admin

Donate Powered by PHP Valid HTML5 Valid CSS Driven by DokuWiki