内科のメモ帳

ずぼらな覚え書き

ユーザ用ツール

サイト用ツール


dz:nmd:lems

Lambert-Eaton症候群 LEMS

  • 傍腫瘍性神経症候群(PNS)の1つで,約50%以上に悪性腫瘍,とくに小細胞肺癌を合併する
  • 約90%にP/Q型VGCC1)抗原2)に対する自己抗体あり
    • 神経筋接合部と自律神経の刺激伝達が障害される
      • 四肢近位筋からの筋力低下(90%以上)
      • 腱反射低下(85〜92%)
      • 反復運動による筋力増強,腱反射の運動後増強 post-exercise facilitation(50%程度)
      • 自律神経障害(37%)
        • 口渇が最も高頻度
        • 膀胱直腸障害,勃起障害,目の調節障害もきたす
      • まれに亜急性に小脳失調をきたす(10%程度)
        • 傍腫瘍性小脳失調症 PCD3) との合併と考え PCD-LEMSと命名されている

治療

  • 対症療法:3,4-ジアミノピリジン(DAP)内服治療
    • 症状が寛解したら終了
    • 症状寛解せずに重度の筋力低下をきたす場合
      • 急性期治療:IVIg(確立されたエビデンスは2022時点ではIVIgのみ)4)
      • 長期的治療:PSL内服,アザチオプリン内服(=MGと同じ)
  • 3,4-DAPの注意点
    • 頻度の高い副反応として,口周囲や手指しびれ感
    • まれに痙攣,不整脈,QT延長をきたす
    • 本邦では保険未収載

予後

  • 腫瘍の進行次第
  • LEMS合併の小細胞肺癌患者の方が,LEMSを合併しない者に比較して生命予後が良い
    • 免疫学的監視機構 immune surveillance による生命予後延長?

LEMS診断基準2022

  • LEMSはMGと異なり,遠位筋を被検筋としても感度は低下しない
    • 固定しやすい小指外転筋などを用いる
  • 漸減パターンは MGのUパターンと異なり直線的にCMAP低下する progressive decrement pattern
  • 漸増パターンは,高頻度刺激(20〜50Hz)ないし10秒間の最大随意収縮後刺激で観察できる
    • 前者はかなり痛いので,後者の PEF;post exercise fasicilitaiton が推奨
A. 症状
1四肢近位筋の筋力低下
2腱反射低下
3自律神経症状
B. 反復刺激試験の異常
1一発目の複合筋活動電位の振幅低下
2低頻度刺激(2〜5Hz)で 10%以上の漸減現象 waning
3高頻度刺激(20〜50Hz)で 60%以上の漸増現象 waxing
C. 病原性自己抗体
P/Q型VGCC抗体
  • 以下をみたせば LEMS と診断5)
    • A のうち (1) を含む2項目以上 + B のすべて
    • A のうち (1) を含む2項目以上 + B のうち (3) を含む2項目以上 + C
1)
volt-gated calcium channel
2)
神経終末活性帯に局在
3)
paraneoplastic cerebellar degeneration
4)
2022GLでは血漿交換も記載
5)
重症筋無力症/ランバートイートン筋無力症候群診療ガイドライン 2022
dz/nmd/lems.txt · 最終更新: 2022/10/04 by admin

Donate Powered by PHP Valid HTML5 Valid CSS Driven by DokuWiki