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sx:shock:septic_shock

敗血症性ショック

  • ERに搬送される ショック shockの多くがコレ.圧倒的に多い.とにかく迅速な診断と抗菌薬投与.
  • 易感染,EntryのあるPtは特に要注意.

診断基準

  • JAMA20161)以降の診断基準(通称 Sepsis3)は以下の2項目を満たすこと
    1. SOFA2点以上の増加(敗血症)
    2. 末梢循環不全(Lac≧2かつMAP65にNad必要)

治療

  1. 迅速な抗菌薬投与1時間以内!!):Lac測定/血培採取後
    • 抗菌薬は empiric therapy は「外さない選択」が重要(ショックなので当然)
    • 標的臓器によって異なる
      • 胆道・尿路・腹部なら ESBL産性GNRのカバー(MEPM)まで
      • 皮膚感染であれば MRSA カバー(VCM)まで
  2. 晶質液投与(目安 30mL/kg):低血圧・乳酸≧4mmol/Lに対して
    • 2ルートからリンゲル液 500mL〜1000mL 投与して保てなければ Nad 0.05 μg/kg/分で開始,0.01〜0.02 μg/kg/分ずつ増減
      • 末梢からのカテコラミン投与は比較的安全で,0.2γ 程度までであれば許容と考えられている2)
        • とはいえなるべく肘窩の近くなど大きな末梢静脈からの投与が推奨される
      • 0.2γ で MAP 65 保てなければ,バソプレシン 1.8単位/hr ± ヒドロコルチゾン(ソルコーテフ®️)50mg 6時間ごと(=200mg/日)
        • 低用量ヒドロコルチゾンはショック離脱を早める可能性や,ショック後6時間以内投与で28日死亡率が改善するかもしれないといわれる3)が,Nad 0.25γ以上 を最低 4hr 以上投与しているケースなど限定的な脂溶が推奨される.
  3. ソースコントロール
    • デバイス感染ならデバイスを抜く,膿瘍があるならドレナージする,創部感染なら洗浄する

治療スピードについて

  • 日本版敗血症診療ガイドライン2020(J-SSCG2020)CQ4-6 では1時間以内にこだわり過ぎなくてもと
    • 全死亡に対する推定効果が低いこと,薬剤不要患者への不適切投与などの記載
  • 一方,世界的なガイドライン4)では以下の記載(SSCG2021)
For adults with possible septic shock or a high likelihood for sepsis, we recommend administering antimicrobials immediately, ideally within 1 hr of recognition.

初回投与してしまっても必要なければその後中断すればよいだけであり,ショック(qSOFA2点以上)=すぐ抗菌薬でよいと考える(筆者私見).
すくなくとも初回採血時点で血液培養は同時採取しておくべきだろう(動線の無駄を省くという意味でも).

1)
Singer M et al. The Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock (Sepsis-3). JAMA. 2016;315(8):801-810. DOI, PMC4968574, Pubmed
2)
J Intensive Care Med; 36:101, 2021
3)
Early initiation of low-dose corticosteroid therapy in the management of septich shock. Crit Care 2012:16:R3
4)
Evans L et al. Surviving Sepsis Campaign: International Guidelines for Management of Sepsis and Septic Shock 2021. Crit Care Med. 2021;49(11):e1063-e1143. DOI, Pubmed
sx/shock/septic_shock.txt · 最終更新: 2022/12/27 by admin

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