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sx:dyspnea

呼吸困難 dyspnea

呼吸困難の鑑別と特徴

Common

慢性閉塞性肺疾患(COPD)感冒契機等で急性増悪してER受診.HOT導入済みのPtなど要注意.
急性増悪:呼吸器症状の増悪;呼吸困難, 咳・痰増悪
心不全, PE, 気胸は要除外.普段流している酸素量までは流して良い.最終手段は覚醒下でマスク揉む(嘔吐注意)
気管支喘息 ぜんそく既往, 夜間増悪, wheeze(心臓喘息と要鑑別)
治療が逆になる(※心不全はメプチン®禁忌)
喘息と思ったらとりあえずTTEでIVCとEFは確認.
肺炎 市中肺炎疑ったら正面/側面立位CXR.
抗菌薬empiric投与.誤嚥性肺炎でも CTRX で十分対応可能.ABPC/SBTにしなければならないわけではない.
間質性肺炎 既往ある人の急性増悪またはAIP
死亡率が極めて高いため入院閾値は低めに設定する
既往歴にじん肺,過敏性肺臓炎,放射線肺臓炎,膠原病に伴うIP,サルコイドーシス,好酸球性肺炎等ある場合は注意.
過換気症候群 ストレスエピソード起因, パニック障害の既往など

Must R/O

心不全 下腿浮腫,IVC拡張(TTE),半座位でのSVC怒張.これらは後負荷主体の増悪時に目立たないことも多いため注意(その場合 vEF 保たれていることもあるため E/A を参考にする).
起座呼吸,体重変動,尿量減少,感冒,普段の労作時息切れとその労作閾値は必ず聴取する.
気道狭窄 誤飲,気道内異物,喉頭蓋炎.頸部聴診でStridorがないか.
(緊張性)気胸 突然発症,皮下気腫(握雪感),CXR 気管偏位,呼吸音左右差.
閉塞性ショックの場合 ⇒ 第2肋間から 18G 刺して緊急脱気
肺塞栓 突然発症,下肢静脈エコーでDVT,長期臥床エピソード,ope後,担癌患者など.
PEプロトコルで造影CT撮像
肺水腫 心原性/非心原性(=ARDS) いずれもある.Coarse crackles, butterfly shadow, 胸水貯留
肺胞出血 喀血,まず CXR 評価.患側が分かったら出血側を下側にして寝かせる.
LK末期の人,易出血性.ウロペーパー試験紙でpH測定し, 酸性なら吐血susp(胃酸由来)とは言うが諸説あり
神経筋疾患 拘束性換気障害のため原則 2型呼吸不全を呈する(CO2貯留).
急性ならMG, GBS, ミオパチーなど.ALS も診断が遅く進行早いと亜急性かのように見えることも.
CO中毒 Sat下がらないので注意 血ガス(CO-Hb)で評価可能

Pitfalls

貧血 心負荷となる(高拍出性心不全)
そもそも酸素化という点で生理学的にも非常に不利となる.
甲状腺機能異常 高拍出性心不全,粘液水腫性
ビタミンB1欠乏高拍出性心不全.いわゆる脚気心.Wet-beriberi.
肥満 臥位では重力による横隔膜降下がないため酸素化不良となることがある.
上気道閉塞(OSAS)も注意
肋骨骨折 外傷など

病歴

病歴 【急性】気道狭窄/閉塞,気胸,PE,心不全後負荷型増悪,COPD急性増悪,喘息,等等…
【外傷後】気胸,肋骨骨折,肺挫傷,外傷性心タンポ
【増悪因子】夜間増悪,就寝1時間後に息苦しさ,古い家屋の掃除,sick contact など
生活歴 労作との関連(労作時息切れ),夜間発作性呼吸困難,起座呼吸.
普段の労作閾値(階段登れないレベル,自宅ではほぼ動けず寝たきり,30mくらいは歩ける etc…)
既往歴 心疾患,呼吸器疾患(喘息/COPD),悪性腫瘍(凝固能亢進⇒PE),精神疾患(パニック)
生活歴 喫煙指数はルーチンで聴取,最近の食生活(塩分や水分過多)
薬剤歴 エストロゲン製剤,抗がん剤,抗生剤アレルギー,不整脈薬,漢方,サプリ
治療歴 放射線治療 ⇒ 放射線肺臓炎
職業歴 粉塵暴露歴,陶器,農家など
ADL 長期臥床 ⇒ PE,誤嚥性肺炎のリスク

身体所見

バイタル 発熱→肺炎,頻呼吸→過換気,意識レベル(CO2ナルコーシスetc…)
肥満の人は仰臥位になるだけでSpO2下がるため注意
SpO2保たれていても頻呼吸の場合は原因検索を
随伴症状 咳・痰,胸痛,動悸,手足のしびれ
聴診 呼吸音低下,stridor,crackles
50歳以上かつ喘息既往がない人の wheezes は心不全の可能性(心臓喘息)
眼瞼結膜貧血 結膜で分かるレベルの貧血は Hb 6-7 台で顔も白い.
頸静脈怒張
下腿浮腫
前負荷の要素を評価

検査

TTED-shape、IVC呼吸性変動
ABG 呼吸困難主訴では原則ABG>VBGが望ましい.CO2貯留のほか貧血がすぐ分かる利点も
採血 感染症(炎症反応マーカー),BNP,CK(-MB),TnT,D-dimer,貧血
CXR 心拡大,butterfly shadow,浸潤影,透過性亢進,気道狭窄.
立位正/側(PA)» 座位正/側(AP) » 臥位正面 » ポータブル
胸部pCT肺野の詳細な確認.ナゾに酸素化が悪いときや呼吸音異常があるとき,レントゲンで評価困難のとき(臥位やポータブルでは詳細部位の評価はほとんど困難)は閾値低く施行してOK

入院対応

  • 吸入等で短期改善した喘息や過換気症候群を除き,原則として入院経過観察が無難
sx/dyspnea.txt · 最終更新: 2023/07/13 by admin

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