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進行性多巣性白質脳症 PML
- 免疫不全状態で発症することが多い
- JCVの初感染は幼小児期で,成人約70% が抗体保有
- JCVはオリゴデンドロサイトで増殖して脱髄病変を呈する
- 発熱や頭痛はない
- IRISによる増悪時を除き,原則的に浮腫や mass effect,増強効果を認めずべっとり広がる点が悪性リンパ腫などとの鑑別点
- 髄液中の JCV PCR が陰性であっても PML は否定できない(髄液中に 放出されていない場合がある)
- そのため PCR 陰性でも事前確率が高い場合(=HIV感染等)には脳生検が推奨される
病理
- 肉眼マクロではホタテ貝状
- 白質軟化が強い
- 皮質化白質で点状の小さな脱髄斑を認める
- 感染したオリゴデンドログリアは脱髄巣の周辺に多く見かける1)
- 腫大核オリゴデンドログリアは特徴的で,HE染色でも診断が可能
- 肥大核と腫大細胞体を持つアストロサイトの出現も特徴的
治療
- HIV+ PMLではまず HARRT療法を優先する
- IRIS(免疫再構築症候群)により炎症性病変が広がることがある(=造影効果を伴う浮腫病変)
- 重篤でなければそのまま治療を継続するが,重篤であれば治療を中止する
- IRISにはステロイドパルス投与が有効とされる
- メフロキン,ミルタザピンは十分な科学的根拠はないが,考慮は可
- ミルタザピン(やリスペリドンなど)の5-HT2Aセロトニン受容体阻害薬は JCVのオリゴデンドログリアヘの侵入を抑制するのではないかと考えられている
- シドフォビルの有効性は確立されておらず推奨されない2)
参考
- PML診療ガイドライン2020
dz/id/pml.txt · 最終更新: 2022/10/08 by admin