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syn:issacs

Issacs症候群

  • アイザックス症候群

概要

  • 持続性の四肢/躯幹の筋けいれん,ミオキミアニューロミオトニアを主徴とする疾患
  • 抗VGKC複合体抗体の陽性割合は 30%程度
  • 一部症例に胸腺腫が関与している
  • 免疫介在性に末梢神経終末部の電位依存性カリウムチャネル(VGKC)の機能障害が起きるとされる
  • 本邦では指定難病
    • 主要所見の1つに「ステロイドやその他の免疫療法,血漿交換などで症状軽減を認める」がある
    • 支持所見の1つに「その他の自己抗体の存在(抗AchR抗体,ANA,抗甲状腺抗体)」がある
  • モルバン Morvan症候群はより重症型(Caspr2関連自己免疫性脳炎で起きる)
    • Issacs症候群に加えて以下
      • 辺縁系異常を示唆する症状
      • 重度の自律神経症状(不整脈/便秘/尿失禁)
      • 重度の不眠,複雑な夜間行動異常,幻覚,記銘力障害
  • 健忘,失見当識,てんかんなどのみを呈する抗VGKC複合体抗体関連脳炎もある

疫学

  • 本邦では100人程度 1)

症状

  • 中心症候は末梢運動神経の過剰興奮性によるもの:
    • 四肢・躯幹の筋痙攣・筋硬直 ⇒ ときに筋肥大や筋力低下
    • ニューロミオトニア(叩打性ミオトニアを認めない神経由来の筋弛緩遅延)2)
      • 寒冷増悪しやすい?
    • ミオキミア
    • 線維束れん縮
  • 感覚異常:疼痛・しびれ感などもしばしば伴う ⇒ 時に複合性局所疼痛症候群様の激しい痛み
  • 自律神経症状:発汗過多,皮膚色調の変化,高体温

検査

  • Myokymic discharges,neuromyotonic discharges など EMG で末梢神経の過剰興奮を示す所見
    • F波の刺激誘発性反復放電(SIRD:stimulus-induced repetitive discharge)を認めることがある(非特異的所見)

診断

  • スティッフ・パーソン症候群や筋原性のミオトニア症候群,糖原病V型(McArdle病)など
    • EMGで除外する

治療

  • 確立していない.
    • 腫瘍に随伴するものであればその治療や切除を優先する(肺癌・胸腺腫)
    • Naチャネル阻害薬系の抗てんかん薬を対症療法で用いることがある
    • 抗体陽性例であれば PE やステロイド治療が有効とする報告がある
      • MG合併例では PE後のステロイド+アザチオプリン
      • 一部でリツキシマブ?

参考文献

  • BRAIN and NERVE 62(4):401-410,2010 「特集 傍腫瘍性神経筋疾患update 免疫介在性ニューロミオトニア(Isaacs症候群)」医書jp
syn/issacs.txt · 最終更新: 2022/10/08 by admin

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