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dz:spine:cr

頚椎症性神経根症 CR

神経根症の基本

  • 急性発症が多いが,そのまま慢性経過に移行する
  • 基本的に「痛い」病気(ミエロパチーはそうでない点に注意)
    • 頸部痛,上肢の根性分布の痛み(単一神経根の支配領域の痛み)を引き起こす
    • 特殊例として一側の大胸筋部に疼痛がみられることがある.特に左側のばあい狭心症と類似し cervical angina または pseudo-angina pectoris と呼ばれることがある1).C6やC7で多い2)
  • 異常感覚(ピリピリした感覚)を伴うこともあるが,通例上肢のさらに遠位部で起こす
  • 筋力低下をきたすこともあり,頚椎症性筋萎縮や支配領域の fasciculation を伴いうる(LMN徴候)
  • 当該筋節レベルの腱反射は低下する
  • ほぼ例外なく症状は片側性(=正中からの脊髄圧迫なら神経根症ではなく脊髄症をきたす)
  • 最多は C7神経根症(C6/7)で,2番目に多いのが C6神経根症(C5/6)とされる
  • 誘発試験として Jackson's test & Spurling's testがある

Radiculopathy 高位別まとめ

Radiculopathy 椎間 症状
C3 神経根症 C2/3 痛み:後頸部痛や後頭下部痛,ときに耳痛をきたす.
筋力低下:ほとんどきたさない
この高位は頚部の屈曲や伸展の影響をほとんど受けないため「稀」
C4 神経根症 C3/4 痛み:頚根部〜肩,肩甲骨にかけての傍脊柱痛をきたす.
筋力低下:ほとんどきたさない.神経根症であれば横隔膜障害も稀
C5 神経根症 C4/5 痛み:肩関節頂部〜上腕外側の中ほど.
肩関節痛と誤診しやすいが,肩関節の動作では痛みを合併しない.
筋力低下:三角筋(純C5)↓ のため腕が上がり難く ADL 支障をきたしやすい.
腱反射:BTR(C5&6)は低下しやすい(必発ではない)
C6 神経根症 C5/6 痛み:頚部から上腕二頭筋部,前腕外側,手の外背側,母指〜示指の放散痛+感覚異常
筋力低下:手関節背屈(橈側),上腕二頭筋
腱反射:腕橈骨筋反射(C6)低下〜消失,BTRも低下しうる(必発ではない)
C7 神経根症 C6/7 痛み:肩背部〜上腕三頭筋部〜前腕後外側〜中指の放散痛+感覚異常.3)
筋力低下:上腕三頭筋4),手関節掌屈.ときに指伸筋群まで.
腱反射:TTR(C7)低下〜消失
C8 神経根症 C7/T1 痛み:他の神経根症に比べ低頻度.まれに小指・薬指5) にきたす
筋力低下:手指屈筋群を障害し,握力や手の微細な運動の障害をきたす.
C8障害の症候は尺骨神経麻痺と間違えやすい
ただし下垂指もきたす点がポイント.これは C8 橈骨神経(後骨間神経)支配なので尺骨神経麻痺との鑑別で有用

参考文献

  • イラストでわかる神経症候 第1版 p129
1)
Cervical angina. Spine 1976;1: 28-32.
2)
Asian Spine J. 2021 Aug; 15(4): 550–556. PMC8377215
3)
母指・示指は C6優位だが,この範囲の感覚障害もきたしうる
4)
重力で代償されやすく自覚に乏しいことがある
5)
さらに稀に前腕内側遠位部半分
dz/spine/cr.txt · 最終更新: 2024/01/07 by admin

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