dz:ed:hypokpp
低K性周期性四肢麻痺
- Hypokalemic periodic paralysis; hypoKPP
- 遺伝性と二次性があり,二次性では甲状腺機能亢進症に伴うものが有名
- 遺伝性は本邦の指定難病1)
遺伝性 | CACNA1S(Caチャネル)遺伝子変異など.発症は5歳から20歳で,発作間欠期は筋力低下やCK上昇を認めない. ミオトニー放電はなく,間欠期の運動試験 prolonged exercise test で振幅漸減(40%)を認める. |
二次性 | 甲状腺機能亢進症,アルコール多飲,カリウム排泄性の利尿剤,カンゾウ(甘草)の服用, 原発性アルドステロン症,Bartter症候群,腎尿細管性アシドーシス,慢性下痢・嘔吐 |
甲状腺機能亢進症に伴う hypoKPP
- 本邦ではほとんどが男性で20:1,下肢に強い症状をきたす
- 発症年齢は20〜40歳
- 麻痺は夜間・早朝に起こりやすい
- 激しい運動や暴飲暴食(特に大量デンプン摂取)が誘発因子となりやすい
- cf.高K性周期性四肢麻痺では寒冷刺激や安静,果物(高K食品)が誘発因子となる
- 発作の発現条件は原発性と類似している
- 発作は原発性より短く6∼12時間で消失する
- K全体量の異常ではなく細胞内外のK移動が主と考えられており,中心静脈注射での急激なカリウム補給はむしろ危険.経口内服を推奨.
遺伝性 hypoKPP
- 発症は5歳から20歳
- CACNA1S(Caチャネル),SCN4A(骨格筋型Naチャネルαサブユニット)遺伝子変異によるものが知られる
- 発作間欠期は筋力低下やCK上昇を認めない
- 高K性周期性四肢麻痺と異なりミオトニー放電はない
- 間欠期の運動試験 prolonged exercise test で振幅漸減現象を認める.
- 女性は男性に比べ症状が軽いことが多く,遺伝歴が見逃されやすい
- 発作からの回復期にはむしろ血清K値が一時的に高値となることがる
- Andersen-Tawil症候群はこの特殊型で,hypoKPP に不整脈(QT延長),骨格変形を合併する
- KCNJ2,KCNJ5などカリウムチャネル遺伝子異常が原因となる
検査
Prolonged exercise test | 長時間運動負荷(15~45秒ごとに3~4秒の短い休息を入れながら,2~5分間の負荷)後に最初は1~2分毎,その後は5分毎に,30~45分にわたってCMAPを記録する.一般に40%以上のCMAP振幅・面積の低下がある場合異常と判定する2) 3) |
遺伝子検査 | SCN4A(骨格筋型Naチャネルαサブユニット)の変異を認める.変異の仕方によっては高K性周期性四肢麻痺や先天性筋無力症 CMSの原因にもなる |
dz/ed/hypokpp.txt · 最終更新: 2022/10/07 by admin