dz:aid:np-sle
中枢神経ループス NP-SLE
- CNS lups,neuropsychiatric SLE;NP-SLE
概要
- NPSLEは,免疫異常を基盤とする炎症のために,中枢神経系を障害する SLE の1病態.
- 神経症状は非常に多彩で,代表的なものは以下1)
- 痙攣
- 片頭痛
- 横断性脊髄炎
- 視神経炎
- 無菌性髄膜炎
- 脳梗塞の合併(APS による)
- 脳萎縮・認知機能低下・精神症状(慢性経過)
- SLE においてループス腎炎と並ぶ主要な臓器障害であり,その頻度は軽症のものも含めると全患者の 25-60% に及ぶ.診断時点で 40% 程度で合併するという既報もある2)
- 必ずしも疾患自体の直前の病勢と合致せず急性発症もしうる(特に急性意識障害,痙攣,脳症様の病歴で来院するパターン)
- 発症直前期の腎症状や皮膚症状,抗体価などはあまり参考にならない
診断
- 多様性を含む概念であるため,NPSLEの診断基準は十分に確立されたものではない
- そのため重要なのは他疾患の除外
- SLE患者が急な神経症状で来院した場合には,NPSLEのほか,以下の可能性を考慮した上でMRI検査・髄液検査を行う
- SLE に合併した血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
- 免疫抑制薬に伴う進行性多巣性白質脳症(PML)
- 髄膜炎(自己免疫性,感染性いずれも)
- 脳血管障害(とくに APS に伴うもの)
検査
- 髄液検査,脳MRI検査は必須.
- 髄液中の IL-6値が参考所見となる
治療
- ランダム化比較試験による裏付けはなく,記述研究に基づくものが多い.
- 通例,痙攣をきたす場合には SLE 急性増悪期治療に準じた全身免疫抑制療法が推奨される
- ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン静注1000 mg/日 × 3日間)が一般的3)
- 必要があれば,対症療法的に抗痙攣薬を併用する(急性症候性発作として)
- 頭蓋内に明らかなハイリスク病変がなければ,初回からてんかんとしての抗痙攣薬導入を行うべきかは議論が分かれる
dz/aid/np-sle.txt · 最終更新: 2022/12/27 by admin