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dz:aid:egpa

EGPA

  • 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症,Churg-strauss syndrome(CSS)

概要

  • 小〜中型血管炎
  • 喘息の先行率は95%
  • 好酸球の増殖や活性化において Th2 細胞からの IL-4,IL-5 や IL-13 などのサイトカインが病態の形成,進⾏に関わっている 1)
  • 重症度3以上(不可逆な臓器障害2)で本邦指定難病としての助成対象3)

症状

  • 高CRP,発熱
  • 好酸球著増
  • 成人発症ぜんそく
  • 多発単神経障害

典型的なpresentation

  • 成人発症喘息の既往.
  • X日,筋肉痛,倦怠感,37℃ 台の微熱を自覚.近医でのレントゲン・MRI 画像に異常を認め.X+4日,急性に右下肢のしびれ感が出現.下腿の一部ではシャワーの温度がわからない.その後症状は緩徐進行.X+7日.右大腿後面にも筋肉痛出現.下肢脱力感で片側が下垂足となった.両下腿に皮疹も出現した.

検査

  • MPO-ANCA陽性率は50%程度
  • NCSでは軸索障害型の多発単神経障害(左右同一神経でCMAP振幅の減少度が大きく異なるなど)
  • 好酸球性心筋障害を伴いうる(LDH高値,CK高値,TnI高値など)
  • 好酸球性肺炎を伴いうる(気管支分布に一致しない斑状浸潤影)
  • 糸球体腎炎精査で尿検は必須.
  • 皮疹は生検しやすく,診断的価値が高い
    • 神経生検は標的になりにくい(sural nerve が N.E. レベルまで障害されることは多くない)

診断

  • 厚労省診断基準
  • Definite:「主要臨床所見3項目+主要組織所見1項目」or 「主要臨床所見3項目 + 臨床経過の特徴」
  1. 主要臨床所見
    1. 気管支喘息あるいはアレルギー性鼻炎
    2. 好酸球増加
    3. 血管炎による症状:発熱(38℃以上,2週間以上),体重減少(6か月以内に6kg),多発性単神経炎,消化管出血,多関節痛(炎),筋肉痛(筋力低下),紫斑のいずれか1つ以上
  2. 臨床経過の特徴:主要臨床所見 a,b が先行し c が発症する
  3. 主要組織所見
    1. 周囲組織に著明な好酸球浸潤を伴う細小血管の肉芽腫性又はフィブリノイド壊死性血管炎の存在
    2. 血管外肉芽腫の存在

治療

  • 基本的にステロイド反応性良好
    • 初期治療は多くの場合,メチルプレドニゾロン1000mg/日のパルス
    • その後ステロイドは 1mg/kg/日の後療法漸減
  • 難治例ではIL-5抗体製剤(メポリズマブ)が選択肢となる
  • 運動障害に関してはリハビリが有効である他,IVIgも本邦では選択肢となる.
    • EGPA緩解期に残存する末梢神経障害に対しIVIgが有効とする報告がある4)
      • しかしこの試験は 23 例の少数前後比較試験であり,primary outcome も 8週間後の MMT sum score が 13.65 ± 12.30 改善という解釈が難しい結果.
1)
⾎管炎症候群の診療ガイドライン(2017 年改訂版
2)
呼吸不全(PaO2 60Torr未満),血清Cr値 5.0~の腎不全,NYHA 3度心不全,脳血管障害,末梢神経障害による知覚異常および運動障害,消化管出血,手指・足趾の壊疽
4)
J Neurol.2015; 262(3): 752-759
dz/aid/egpa.txt · 最終更新: 2023/09/29 by admin

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