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筋病理
- Type I(遅筋/赤筋)の方が基本的には濃く染色される(NADH,CCO,Oil Red).
- 酸化酵素活性が高くミトコンドリアや脂質をよく含むため.
- Type II(速筋/白筋)が濃く染色されるのは ATPase(ルーチンpH9.4)とPAS染色のみ
- PAS染色はグリコーゲンを染めるため,遅筋は染まらない
筋生検の手順
HE 染色
- 個々の骨格筋細胞の大きさと形をみる(正常:ほぼ均一で,成人では直径 60〜80μmの角形)
- 筋核の極在性をみる(正常:筋細胞膜下に局在し,核数は 0〜3 個)
- 骨格筋細胞質の染色性をみる(正常:均一に染色)
- 骨格筋細胞内の異常構造物を見る(正常:ない)
筋径の大小不同 | 主に筋原性.骨格筋細胞が形態的に円形化を呈する |
肥大線維 hypertrophic fiber | 主に筋原性.100μm以上で有意と取る. fiber splitting(肥大しすぎて亀裂が入る)も. |
小径化hypotrophy | 非特異的 |
群衆萎縮 group atrophy | 主に神経原性 |
小角化線維 small angular fiber | 主に神経原性 |
Pyknotic nuclear clump 鎖状核 chained nuclei | 非特異的;神経原性でも筋原性でも |
壊死線維・再生線維 | 単核細胞侵入が目立たなければ,壊死性ミオパチ─を示唆 再生線維では好塩基性の胞体,大型内在核となる |
単核細胞侵入 | 炎症性ミオパチ─を示唆 |
Gomori trichrome 変法染色
- 緑色の染色
- RRFは HEでも分かることがあるが, Gomoriの方が検出しやすい
- Rimmed Vacuole は空胞ありそうかどうかはHEでもわかる
- きちんと縁取られているかは gomoriでなければわかりにくい
赤色ぼろ線維 Ragged-red fiber | ミトコンドリア病 etc |
縁取り空胞 Rimmed vacuole | 封入体筋炎,DMRV,眼咽頭型筋ジストロフィー etc |
Spheroid body Cytoplasmic body | 神経原性疾患 etc |
Nemaline(端っこに糸屑) | ネマリンミオパチー etc |
ATPase 染色
- 白と茶色のモザイク状になる染色
- 骨格筋細胞のタイプ別の染め分けに有用
- pH9.8(アルカリ性)のルーチン染色では以下(酸性では発色が逆転)
- 白色:Type I fiber (赤筋/遅筋)
- 茶色:Type II fiber (白筋/速筋):
- Type II の中でも IIa, IIb, IIc で色が若干違う
- 骨格筋の種類により Type I / II fiber 比は異なる
- 筋生検を行う上腕二頭筋や大腿四頭筋では 1:2 でモザイク状配列
- Predominancy
NADH-TR 染色
- 薄い青系の染色(TypeI遅筋が濃く青に染まり,TypeII速筋がうすい水色に染まる)
- 筋原線維間網 (intermyofibrillar network) の観察
- 正常の筋細胞質は均一に染色される = 乱れがない
- 筋細胞質の染色性は Type I > Type II (ATPase染色とは濃淡が逆!)
- 筋疾患/神経原性疾患を問わずに乱れが生じる
- 疾患特異性はないが,筋疾患では「乱れ」が強い
Target/Targetoid fiber | 神経原性変化で非特異的 |
筋細胞の中心が不染 | セントラルコア病 |
SDH 染色
- 見た目はNADH-TR染色に似ているが,より色が薄く若干緑寄り
- 筋細胞質の染色性は Type I > Type II (NADH-TRと同様)
- ミトコンドリア特異性が高く,ミトコンドリアミオパチ─の診断に必須
- SDH濃染線維(GomoriでのRRF同様,筋細胞膜直下に集積しやすい)
- SSVs3) = MELAS,MERRF(CPEOでは認めない)
CCO染色
- 陰性線維の有無をみる
- mitochondria電子伝達系 (cytochrome c oxidase) の酵素活性を利用して染色する手法
- 筋細胞質の染色性は Type I > Type II fiber(色が少し似ているATPase染色と逆)
- CCO陰性筋細胞の存在は mitochondrial myopathyの診断に必須だが,疾患特異性はない
- 慢性経過の筋疾患でもみられる
PAS染色
- 筋細胞内のglycogenやムコ多糖体を染色する
- グリコーゲンを蓄えるのは TypeII(速筋)である
- ほぼ同じ色だが,わずかに Type I < Type II 染色
- 糖原病 (Glycogenesis) の診断に必須
- 筋疾患としては Pompe病など
Oil red O 染色
- 筋細胞質内に蓄積している脂肪滴を染色
- Type I > Type II 染色性
- 脂質蓄積ミオパチー (Lipid storage disease) に必須
免疫組織染色
- 炎症性ミオパチー: MHC class I/II antigens,CD4,8,68 etc
- 筋ジストロフィー: 関連蛋白
ジストロフィン Dystrophin | 細胞膜 | DMD(細胞膜は全く染まらない) BMD(薄くまだらに細胞膜が染まる) DMD保因者(細胞膜が染まる/染まらない筋細胞がまだら分布) |
サルコグリカン Sarcoglycan | 細胞膜 | LGMD2C-F |
ジスフェルリン Dysferlin | 細胞膜 | 三好型,LGMD2B |
カベオリン-3 Caveolin-3 | 細胞膜 | LGMD1C |
カルパイン-3 Calpain-3 | 細胞質 | LGMD2A |
メロシン Merosin | 細胞膜 | / |
エメリン Emerin | 核 | / |