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末梢神経病理
腓腹神経病理における軸索障害 vs 脱髄
- 脱髄は髄鞘の選択的障害とされるが,実際には二次性の軸索変性をきたす(脱髄部位より遠位)
- シュワン細胞と軸索は栄養因子を介して相互依存関係であるため
- そのため脱髄に特徴的な病理像を見かけた場合には,軸索障害の病理があったとしてもまずは脱髄疾患を考える
- あとはNCSの所見とあわせて検討する(⇒ 軸索障害 vs 脱髄)
軸索変性の病理所見
軸索変性急性期
- 横断面(エポン包埋トルイジンブルー染色)
- 内部構造(軸索オルガネラ)の消失で,軸索が白く抜けて見える
- 軸索崩壊に伴い,髄鞘形態が保てなくなる(ミエリン球 myelin ovoid)
- ミエリン球が Mφ によって貪食される
- ときほぐし線維法
- ミエリン球が数珠状に連なっている状態が確認できる
軸索変性後の再生期
- 貪食されたあとに残存した基底膜内に複数の再生軸索が伸長 ⇒ 再生クラスター
脱髄の病理所見
脱髄の急性期
- 横断面(エポン包埋トルイジンブルー染色)
- Mφ が軸索を残して髄鞘を貪食する
- 髄鞘が剥ぎ取られて剥き出しになった軸索(naked axon)が出る
- ときほぐし線維法
- 節性脱髄が見られる(逆にこの “節” をとらえた横断像でなければ脱髄所見を認めない点に注意)
- なお生検部位よりも近位部で生じた脱髄の場合には,脱髄後の二次的な軸索変性像や再生像のみが見られ,脱髄性変化は見られないことがある
- 軸索障害型の末梢神経障害と早合点しないよう,電気生理学的検査とあわせた評価が必要
脱髄の慢性期
- 横断面(エポン包埋トルイジンブルー染色)
- 以下はいずれも脱髄が起きて数ヶ月以上経過した初見
- naked axon に対しシュワン細胞が再髄鞘化を始めるが,軸索径と比べて菲薄化した髄鞘にしかならない
- また上記の再髄鞘化を反復することで,シュワン細胞の突起が残ってオニオンバルブを形成する
- ときほぐし線維法
- 再生・再髄鞘化した神経線維は髄節の長さが短くなり,絞輪間距離が不規則となる
参考文献
- ここからはじめる!神経伝導検査・筋電図ナビ 第1版(南山堂)
- 臨床で役立つ末梢神経病理の読み方・考え方 BRAIN and NERVE 71 ( 4 ): 423 - 430 , 2019