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dz:kd:siadh

SIADH

  • 血清浸透圧<280mOsm/Lかつ細胞外液量正常の低ナトリウム血症であるにも関わらず下記の状況を指す
    1. 尿[Na]>40(=尿排泄を絞って調整する機能が働いていない)
    2. ADH測定可(=本来は「感度以下」にならなければならない)
  • 症候群であり,原因は多彩(下記).
  • なお低尿酸血症となることが多く,診断の際の参考値となる.

SIADHの原因疾患

中枢性 頭部外傷,脳腫瘍,感染症(脳膿瘍・細菌性髄膜炎etc..),脳血管障害など
腫瘍性 肺小細胞癌の頻度が高く代表であるが,癌腫によらず起きうる
ストレス性 疼痛,術後や入院ストレス,嘔吐ストレス,アルコール離脱など
肺疾患 肺結核,肺炎,気胸,COPD,肺腫瘍など
薬剤性 向精神薬:三環系抗うつ薬,ハロペリドール,SSRI,カルバマゼピン
降圧薬・利尿薬:サイアザイド,ACE阻害薬
ADHアナログ:バソプレシン,オキシトシン
抗がん剤:ビンクリスチン,ビンブラスチン,シクロホスファミド
その他:NSAIDs,ST合剤,テオフィリンetc…
  • 可逆性の原因であればまずはその治療を行うことでADH不適合分泌は改善する.
  • 根本原因にアプローチできない場合,姑息的にトルバプタン(サムスカ®)などの内服長期継続が必要になる場合もある
  • ただし理論上,ADHが不適合分泌になっていたとしても「自由水飲水がない」かつ「尿張度より低張な輸液がされていない」状況では低Na血症になり得ない.
    • つまり厳格な飲水制限+高塩分食で基本的には対応できる(入院でなければ厳格には困難)
    • SIADHでは有効循環血漿量を適正に保つ volume regulation のシステムには異常がないため,塩分が入ればどれほど飲水を制限しても有効循環血漿量は落ちない

ADH に関する小話

  • 低Naを生み出している状況は,結局いずれも ADHが関与している.
  • 不適合に出てしまっている(=SIADH)のか,生体の反応として正しい方向性で出ている(が他機序のNaバランスとの問題で低Naとなっている)のか,それは病態によって異なる.
  • いずれにせよ ADHが高くなる(自由水を体に溜め込む)動きが(RAS系などNa+水をセットで溜め込む動きに対して)相対的に過剰となることで,自由水が相対的過剰となり,低Naという状況を生み出す.
dz/kd/siadh.txt · 最終更新: 2023/05/31 by admin

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