目次

ライソゾーム病 LSD

内科初診しうるもの

ライソゾーム病一覧

1 Gaucher病 AR グルコセレブロシダーゼ遺伝子変異 ⇒ グルコセレブロシド蓄積.Type I は成人発症する3)
2 Niemann-Pick病 A/B型 AR SPD1(sphingomylelin phosphodiesterase 1)変異
⇒ スフィンゴミエリン,コレステロール,糖脂質蓄積4)
3 Niemann-Pick病 C型 AR NPC1 or NPC2 変異 ⇒ 同上
4 GM1ガングリオシド─シス AR GLB1変異 ⇒ β-ガラクトシダーゼ酵素欠損 ⇒ GM1-ガングリオシド蓄積5)
5 GM2ガングリオシド─シス AR HEXA変異 ⇒ Tay-Sachs病
HEXB変異 ⇒ Sandhoff病
GM2A変異 ⇒ GM2ガングリオシド活性化蛋白欠損症 6)
※ いずれもGM2ガングリオシド蓄積
6 Krabbe 病 AR GALC 遺伝子の exon16欠損 ⇒ サイコシン蓄積7)
7 異染性白質ジストロフィー MLD AR ARSA 変異 ⇒ アリルスルファターゼAの欠損 ⇒ スルファチド,リゾスルファチド,セラミドラクトシル硫酸などの糖脂質が脳や腎臟に蓄積8)
8 マルチプルサルファターゼ欠損症 AR SUMF1 (sulfatase modifying factor 1) 遺伝子異常 ⇒ ホルミルグリシン生成酵素(formyglycine-generating enzyme; FGE)蛋白質の不安定化,基質との干渉,複数のスルファターゼ酵素活性低下 ⇒ MLD・ムコ多糖症に類似した複数の組織障害9)
9 Farber病 AR ASAH1(N-acylsphingosine amidohydrolase1)変異 ⇒ 酸性セラミダーゼ活性低下 ⇒ セラミドが間接周囲や皮膚に蓄積10)
10 MPS-I型(Hurler/Scheie症候群) AR IDUA (α-L-iduronidase) 遺伝子変異により同名酵素活性が低下し発症.グリコサミノグリカンのデルマタン硫酸(DS)とヘパラン硫酸(HS)の分解ができずムコ多糖が蓄積.11)
11 MPS-II型(Hunter症候群) XR IDS遺伝子変異 ⇒ Iduronate-2-sulfatase(I2S)活性低下 ⇒ DS,HS分解ができずムコ多糖蓄積12)
12 MPS-III型(Sanfilippo症候群) AR HSの分解に必要なライソゾーム酵素の欠損 ⇒ ムコ多糖蓄積13)
13 MPS-IV型(Morquio症候群) AR GALNS遺伝子変異 or GLB1(βガラクトシダーゼ)欠損 ⇒ ケラタン硫酸(KS)過剰蓄積14)
14 MPS-VI型(Maroteaux-Lamy症候群) AR ARSB遺伝子異常 ⇒ ARSB活性低下 ⇒ DS分解できずムコ多糖蓄積15)
15 MPS-VII型(Sly病) AR 日本にはほぼ居ない(5例程).GUSB異常 β-グルクロニダーゼ酵素活性が欠損 ⇒ KSを除くすべてのムコ多糖の分解が障害され蓄積
16 MPS-IX型(ヒアルロニダーゼ欠損症) AR 世界で1例〜数例? HYAL1変異 ⇒ ヒアルロニダーゼ活性低下16)
17 シアリドーシス AR リソソーム性ノイラミニダーゼ(シアリダーゼ)の異常 17)
18 ガラクトシアリドーシス AR PPCA遺伝子異常 ⇒ PPCA(ライソゾーム性保護蛋白質/カテプシンA)活性低下18)
19 ムコリピドーシスII型, III型 AR ■2型:小児期早期死亡 GNTPAB or GNPC 遺伝子異常 ⇒ GNPT(N-アセチルグルコサミン-1-リン酸基転移酵素活性欠損 ⇒ 種々の糖脂質,糖蛋白が蓄積19)
■3型:3〜5歳発症.2型の軽症型.病因は同じ.成人期まで達しうる.20)
20 α-マンノシドーシス AR 国内報告はほぼない.MANBA異常 ⇒ マンノシダーゼ活性低下
21 β-マンノシドーシス AR 国内報告はほぼない.MAN2B1異常 ⇒ 同上21)
22 フコシドーシス AR 世界で百数十例. 乳幼児期発症. α-L-フコシダーゼの遺伝子異常 ⇒ α-L-フコシダーゼ活性の著明低下22)
23 アスパルチルグルコサミン尿症 AR 2〜4歳発症.アルパルチルグルコサミニダーゼ欠損23)
24 シンドラー(Schindler)病/神崎病 AR NAGA遺伝子異常 ⇒ α-NAGA deficiency 24)
25 Pompe病 AR 酸性αグルコシダーゼ活性低下 or 欠損 ⇒ 筋細胞ライソゾーム内にグリコーゲンが蓄積.専ら筋を障害する疾患.25)
26 酸性リパーゼ欠損症 AR 酸性リパーゼ欠損 ⇒ ほとんどの内臓組織中の組織球性泡沫細胞にコレステロールエステルとトリグリセリドが蓄積.重症型のWolman病(Wolman disease)と軽症型のコレステロールエステル蓄積症(cholesterol ester storage disease:CESD)に分けられる.26)
27 Danon病 XD/
Sp
ライソゾーム膜蛋白 LAMP2 の機能異常 ⇒ オートファジー機能低下 ⇒ 心筋障害・ミオパチ─.二次性肥大型心筋症.27)
28 遊離シアル酸蓄積症 AR SLC17A5 遺伝子変異 ⇒ シアル酸輸送障害 ⇒ ライソゾーム内に遊離シアル酸が蓄積.乳幼児期発症.28)
29 神経セロイドリポフスチン症 NCL AR CLN1,2,3,5,6,7,8,10 が本症の責任遺伝子として報告されているが,病気の表現型と責任遺伝子は1対1対応していない.同じ遺伝子の変異が別の病型を示す事もある.神経細胞,心筋・骨格筋にリポフスチン顆粒が蓄積する.一部成人型もある.29)
30 Fabry病 XR GLA 遺伝子変異 ⇒ αガラクトシダーゼ活性低下 ⇒ グロボトリアオシルセラミド GL-3 が全身臓器に蓄積.XRだがヘテロ女性でも発病し,軽症とも限らない30)
31 シスチン症 AR CTNS 遺伝子変異 ⇒ シスチノシン欠損 ⇒ 全身の細胞ライソゾーム内にシスチンが蓄積 ⇒ 主に腎障害(Fanconi症候群),軽症では眼症状のみの場合も.31)

参考

Lysosomal_storage_disease