目次

脊髄円錐上部症候群

胸腰椎移行部の症候学

/ 脊髄円錐上部症候群 純粋型脊髄円錐症候群2) 馬尾症候群
椎体 Th12 レベル L1 レベル L2 以下
主たる障害 L4〜S2 S3〜S5
原因疾患 脊椎症,黄色靭帯骨化症,腫瘍 腫瘍圧迫,血管障害,L1骨折 腰部脊柱管狭窄症 LSS腰椎椎間板ヘルニア
自発痛 (-)〜(+)
下肢疼痛は伴いにくい
(-)〜(+)
晩期に軽度
臀部や下肢の疼痛を伴う3)
(+++)
早期から強い,特に神経根型
腰椎伸展で増悪
感覚障害 (-)〜(+)
感覚障害はないことが多くMNDとの鑑別が重要
(+)会陰部
対称性が多い
(+)下肢・会陰部
非対称性が多い
筋力低下 (+++)
下腿筋萎縮,下垂足が目立つ
hamstrings や中殿筋も↓↓4)
(-) 5) 6) (+)
弛緩性対麻痺
PTR (L4) 低下〜亢進 正常7) 低下〜正常
ATR (S1) 低下〜亢進 正常8) 低下〜消失
Babinski徴候 (-)〜(+) (-) 9) (-)
膀胱直腸障害 (-)〜(+)
円錐上部に限局する限りは伴わない10)
(+++)
早期から自律性膀胱,便失禁
(-)〜(+)
晩期に軽度
間欠性跛行 (-) (-) (++)
鑑別疾患 下垂足をきたす疾患全般
MND11)
MSA(SDS),PAF,自律神経性ニューロパチー12)

tips

1)
BRAIN and NERVE 73 ( 6 ): 659 - 670 , 2021
2)
馬尾症候群との合併が実際には多い
3)
神経根病変や円錐状部病変の合併
4)
純粋にL4〜S2の髄節に沿った筋力低下
5) , 7) , 8) , 9)
S3以下に筋を支配する髄節がない
6)
L2神経根障害を合併することは実際にはしばしばある
10)
排尿中枢はS2-S4
11)
特に感覚障害を欠き萎縮筋で fasciculation を認める場合に紛らわしい
12)
膀胱直腸障害ばかり前景に立つ場合に紛らわしい
13)
整形外科 56: 373 - 378, 2005