目次
POEMS 症候群
概要
症状
検査
腓腹神経病理
治療
予後
参考
POEMS 症候群
別名クロウ深瀬症候群(CFS)
POEMSは以下の頭文字
Polyneuropathy
Organomegaly
Endocrinopathy
M-proteinemia
Skin lesion
頭文字の「最初」にあるように,
Polyneuropathy で発症する症例が多い
末梢神経障害
としては,
病理学的に脱髄が主体
と考えられている
目次
POEMS 症候群
概要
症状
検査
腓腹神経病理
治療
予後
参考
概要
特に初期で上記症候が揃いきらない場合,
CIDP
と誤診されやすい
20歳〜80歳まで幅広くいるが,平均 48歳
VEGFと関連あり
VEGF は強力な
血管透過性亢進
および
血管新生作用
を有する
浮腫,胸腹水,皮膚血管腫,臓器腫大などを説明しやすい
症状
約半数の患者は末梢神経障害による手足先のしびれ感や脱力で発症
これらの症状が進行するにつれて,皮膚の色素沈着や手足の浮腫が出現する
残りの半数では,胸腹水や浮腫,皮膚症状,男性では女性化乳房から発症する
色素沈着,多毛,血管腫,女性化乳房
検査
末梢神経障害の証明(NCS)
骨病変の精査
血清 VEGF(血管内皮増殖因子)がほぼ全例で高値(血漿も高値)
IgG λ型の M 蛋白上昇
腓腹神経病理
病理学的には
脱髄が主体
末梢神経の近位部では脱髄がみられ,遠位部では(二次性)軸索変性が多く観察される
遠位部では急性期所見としてミエリン球も目立つ(軸索障害主体と誤解しないよう留意)
神経内鞘の内部に浮腫が目立つ(
周膜直下のみに限局しない著明な浮腫
)
神経内鞘内の血管内皮細胞が腫大する(
糖尿病性ニューロパチー
と同様)
無髄神経はよく保たれる(
糖尿病性ニューロパチー
との鑑別点)
基底膜肥厚はそれほど目立たない(
糖尿病性ニューロパチー
との鑑別点)
ときほぐし標本でも脱髄・軸索変性双方認める
軸索変性:ミエリン球
脱髄:節性脱髄,菲薄化髄鞘,ランヴィエ絞輪拡大様所見
1)
を認める
電子顕微鏡では,
UML(uncompacted myelin lamellae)
が比較的疾患特異的な所見である
髄鞘が圧縮されず,シュワン細胞が
内側に向かってほぐれている
像のこと
CIDP
など他疾患でも認めるが,有髄神経の1%以上で確認されれば疾患特異性が高いと考えられている
2)
治療
自家末梢血幹細胞移植
年齢や合併症によって移植困難であれば薬物療法
サリドマイド,レナリドミド,プロテアソーム阻害薬(ボルテゾミブ)
予後
主な死因
全身性浮腫による心不全,胸水による呼吸不全
心膜液貯留による心タンポナーデ
感染
DIC,血栓塞栓症
参考
BRAIN and NERVE 71 ( 12 ): 1419 - 1423 , 2019
1)
再髄鞘化が十分伸びきらないことによる
2)
J peripher Nerv Syst 8: 136-144, 2003