目次
糖尿病性ニューロパチー
糖尿病性自律神経障害
腓腹神経病理
参考
糖尿病性ニューロパチー
Ⅰ型糖尿病では罹患 15 年で 100 %,Ⅱ型糖尿病で は罹患 25 年で 30%が糖尿病性ニューロパチーをきたすとされる
糖尿病の有病割合が高いため,常に合併を考える必要がある
糖尿病性自律神経障害もきたす
糖尿病性筋萎縮症は,非インスリン依存性の糖尿病に多く, 50-60歳,若干男性優位
ポリオール代謝経路亢進説
1)
などの⽣化学的成因が提唱されている
2)
糖尿病性自律神経障害
3)
DM性自律神経障害
眼
対光反射の低下
心血管系
安静時頻脈,運動不耐症,晩期には起立性低血圧に至る.無症候性にQT延長や不整脈をきたすこともある.
消化器系
胃不全麻痺,交代性の下痢と便秘,晩期には括約筋不全で便失禁
泌尿器系
神経因性膀胱,性交障害(男性では勃起障害,逆行性射精,女性では膣分泌液低下)
発汗系
末端無汗症 ⇒ 下肢皮膚乾燥(とくに両踵部),代償で顔面・体幹は発汗過多となる
代謝系
無自覚性低血糖
腎交感神経
貧血(代償性エリスロポエチン反応低下)
安静時頻拍,QT延長,不整脈,起立性低血圧など
最長の自律神経である迷走神経障害が先行する
相対的な交感神経優位から
安静時頻脈
を呈する(100/min 以上)
病期が進行し,交感神経障害も発症すると心拍数は正常上限となる
腓腹神経病理
神経内鞘浮腫を伴いやすい
神経内鞘の小血管で基底膜肥厚・血管内皮細胞腫大
を認める
これのみであれば特異的所見ではない
長期罹患で「ほぼ全ての小血管で同様に認める」場合は特徴的.
大径有髄線維優位の脱落を示す
が,時にそれと
同等以上に小径有髄線維や無髄神経線維の脱落
を認めることがある
この点で
Small Fiber Neuropathy
のアミロイドーシスとの鑑別が必要になる
再生線維を少数ながら散見するのが鑑別点(アミロイドーシスではほぼ認めない)
しばしばオニオンバルブの形成を認めるが,CIDP や
CMT
と比べると低形成で,1〜2層程度に留まる
何層にも発達していれば CIDP や CMT を考えるべき
参考
BRAIN and NERVE 71(10): 1107-1112, 2019
1)
グルコースをソルビトールに変換する代謝経路. ⾼⾎糖にともない取り込まれるブドウ糖量が増えると解糖系経路だけでは処理しきれなくなり, 迂回経路を通過する.そのうちの1つ.
2)
神経内科ハンドブック
3)
麻生好正. 月刊糖尿病 2016/8 Vol.8 No.8