目次

軸索障害 vs 脱髄

NCS における軸索障害 vs 脱髄

軸索障害 axonal 脱髄 demyelinating
CMAP振幅/面積 低下 低下1)
SNAP振幅 低下(CMAPより鋭敏) 同上
伝導速度 CV 高度障害時に軽度低下 2)
※最大でも正常下限 70%程まで
正常下限の 70〜80%以下
MCVの目安は上肢≦ 35 m/s,下肢≦ 30 m/s 3)
全神経でほぼ均一に高度CV低下があれば遺伝性らしい
遠位潜時 DL4) 高度障害時に軽度延長5)
※最大でも正常上限 130%程度まで
125〜150%以上に延長する
伝導ブロック6) 原則なし.運動単位数低下を反映し,神経のどの部位で刺激しても振幅は低下する.例外あり 7) 8) 近位と遠位の刺激間に顕著な脱髄があると認める.
程度は神経ごとに大きく異なる.9)
病的 temporal dispersion なし 15〜30%以上の延長.
後天性脱髄(節性脱髄)で特に顕著
F波出現率 出現頻度は減少する,が AIDPで神経根〜近位部に病変がある場合,F波出現率は極端に低下しうる
F波最小潜時 Latencyは伸びない(正常の目安は上肢 32 ms 以内,下肢 56 ms 以内) AIDPで神経根〜近位部に病変がある場合,F波潜時が120〜150%延長する
A波認めにくい脱髄で認めやすい(特にAIDP)
針筋電図 fibrillation potential
神経原性 MUP(遠位>近位)
軸索障害を伴った場合,その程度による異常

腓腹神経病理における軸索障害 vs 脱髄

末梢神経病理

参考文献

1)
最速線維の到達時点〜遅い線維の到達時点の時間的ズレも含めた筋活動電位の総和であるため
2) , 5)
最速線維が脱落することによる
3)
CMAP正常時の目安.CMAP低下時はさらに遅くなる
4)
MCSのDLは①神経伝導時間+②神経筋接合部の伝導時間+③筋繊維の伝播時間を含むが,SCSでは電気刺激の興奮伝播を直接記録電極から拾うため,単純に最速到達した神経の速度①のみを反映する
6)
近位部と遠位部刺激でCMAP振幅が異常に小さくなること
7)
例外1は GBSの一時的な axonal conduction blockだが,短期的に改善することと,異常なtemporal diseprsionを伴わない点で脱髄と鑑別する
8)
例外2は血管炎の pseudo-conduction block,これも数日で認めなくなる
9)
たとえば脛骨神経は60%程度に生理的になりうるため要注意.正確な判断には 3cm 刻みなどで inching study を行う