目次
球脊髄性筋委縮症 SBMA
疫学
症状
治療
球脊髄性筋委縮症 SBMA
Spinal and Bulbar Muscular Atrophy; SBMA
X染色体劣性遺伝
アンドロゲン受容体
AR
遺伝子第1エクソン内CAG
トリプレットリピート病
(38以上に伸長)
認知機能障害は原則起こさない
(cf.
ALS
との相違点)
本邦では指定難病
1)
疫学
正確には不明,日本全国で2000~3000人くらいの患者
症状
下位運動ニューロン障害+骨格筋障害(CK 1000台など高値になりやすい)
顔面/舌及び四肢
近位部優位
の筋萎縮+筋力低下
筋収縮時の著明な筋線維束性収縮 contraction fasciculation
四肢腱反射は全般に低下する(=上位運動ニューロン徴候はみられない)
手指振戦や筋痙攣
が,筋力低下の発症に先行しうる(20年ほど前からも)
喉頭痙攣は約半数でみられ,手指振戦はほぼ全例で認める
2)
深部感覚優位の
軽徴な感覚障害
を特に下肢遠位部で認める.
温痛覚障害が前景に立つことは稀
進行すると嚥下障害・呼吸機能低下
軽度のアンドロゲン不全兆候を認める
睾丸萎縮,女性化乳房,女性様皮膚変化
血液検査では
CK高値
を示すことが多い
合併症として耐糖能異常,脂質異常症,軽度肝機能異常,
Brugada症候群
治療
症状進行抑制に
LH-RH受容体アゴニスト
リュープロレリンが効くかもしれない
ただし臨床試験では嚥下内視鏡の残渣量をアウトカムとして主要では有意差なし
発症早期者であれば有効性を示す傾向
自前のLH-RHを出させなくすることで,生化学的去勢を行うことになる
リュープロレリンの効果を確認した JASMITT 試験において,緩徐進行性のこの疾患に対する治療薬の適否を短い期間の主要評価項目で判定することには困難が伴った.
嚥下機能を定量化するため咽頭部バリウム残留率という指標を用いて評価を行ったが,被検者全体では統計学的有意差を認めなかった.発症早期例に限定したサブ解析では効果が期待されたため,リュープロレリンが治療薬として実用された.
勃起不全,男性更年期障害様症状などがQOLに与える問題もある.
実用性のある鋭敏なエンドポイントの開発が今後の重要な課題の1つ
1)
難病情報センター 球脊髄性筋委縮症
2)
神経治療 2018;35:427-431