目次

P値

ASA声明におけるP値の6原則

  1. P 値はデータと特定の統計モデル(訳注: 仮説も統計モデルの要素のひとつ)が矛盾する程度をしめす指標のひとつである.
  2. P 値は調べている仮説が正しい確率や,データが偶然のみでえられた確率を測るものではない.
  3. 科学的な結論や,ビジネス,政策における決定は P 値がある値(訳注: 有意水準)を超えたかどうかにのみ基づくべきではない.
  4. 適正な推測のためには,すべてを報告する透明性が必要である.
  5. P 値や統計的有意性は,効果の大きさや結果の重要性を意味しない.
  6. P 値は,それだけでは統計モデルや仮説に関するエビデンスの,よい指標とはならない.

意思決定とP値

Overconfidentの問題

Inferences should be scientific, and that goes far beyond the merely statistical. Factors such as background evidence, study design, data quality and understanding of underlying mechanisms are often more important than statistical measures such as P values or intervals.「推論は科学的であるべきであり,それは単に統計的なものをはるかに超えるものである.背景となるエビデンス,研究デザイン,データの質,背景メカニズムの理解といった要素は,P値や区間といった統計的尺度よりも重要であることが多い」

不幸な用語

仮説探索と意思決定

帰無仮説との関係

信頼区間との関係

検定や P 値といった頻度論的手法は,ランダム化臨床試験やランダムサンプリングをともなった標本調査では非常に有効なツールである.しかし,通常疫学的な観察研究では要因のランダム化も,対象者のランダムサンプリングもなされておらず,データ生成のメカニズムは不明である.ASA 声明にも述べられているように,ランダム化もランダムサンプリングもなされていないデータに検定や P 値を用いてどのような結果がえられても,そもそもの仮定が満たされていないので意味がない(Greenland, 1990).(中略)信頼区間の計算には検定の考え方が使われていることから(Rothman et al., 2008),観察研究では信頼区間を報告すれば検定や P 値の誤用から免れるというわけでもないことに注意してほしい(Greenland et al., 2016)

医師国家試験とP値

3)
Valentin Amrhein, Sander Greenland et al. “Scientists rise up against statistical significance.” Nature 567, 305-307 (2019). DOI
4)
佐藤 俊哉, ASA声明と疫学研究におけるP値, 計量生物学, 2017-2018, 38 巻, 2 号, p. 109-115 J-Stage
5)
計量生物学 Vol. 38, No. 2, 153–161 (2017)J-Stage