目次
Duchenne 型筋ジストロフィー DMD
原因
遺伝形式について
症状
治療
Duchenne 型筋ジストロフィー DMD
Duchenne muscular dystrophy;DMD
男児 3,500 人に 1 人が発症する最も頻度 の高い遺伝性の進行性筋萎縮症
幼児期(5歳以前)から始まる筋力低下・動揺性歩行・登攀性歩行・仮性肥大を特徴とする
X連鎖劣性遺伝病(XR)
13歳以前に車椅子依存となり,ほとんどが30歳を超えて生存しない
原因
責任遺伝子は
DMD
BMD
同様,ジストロフィン異常症
多くの DMD では,ジストロフィン遺伝子のエクソン単位の欠失の異常があり,その欠失が
ジストロフィン
の
mRNA のアミノ酸読み取り枠をずれさせる(out of frame)
.そのため,mRNA 上に
ストップコドン
が新たに出現し
ジストロフィン合成が翻訳の途中で停止し,ジストロフィン欠損
となる.また,一部の患者ではジストロフィン遺伝子に生まれながらナンセンス変異の異常を有している例もある.
遺伝形式について
XR遺伝であり,保因者女性は各妊娠においてDMD遺伝子の変異を50%の確率で受け渡す
変異を受け継いだ息子は患者,変異を受け継いだ娘は保因者となる
DMD男性患者は生殖不能
だが,BMDや
DMD
遺伝子関連DCMの患者では可能
その場合,娘は必ず保因者になるが,息子は
DMD
変異を受け継がない(父親からはY遺伝子,非保因者の母親からX遺伝子を受けるため)
症状
典型的には以下の臨床症状を呈する
偽性肥大(下腿等)
舌肥大
関節拘縮(足首・股関節等)
心不全
(心筋症の発病率は約1/3が14歳まで,1/2が18歳までに,18歳以降では全例)
発達障害・精神発達遅延
治療
ビルトラルセン
によるエクソンスキッピング療法で
BMD
と同等程度の症状進行度に改善させることができる
ジストロフィン遺伝子から産生したmRNA前駆体に作用してジストロフィンを作らせるようにする
対象は
エクソン53
(ゴミ遺伝子をスキップする,と覚える)
ガイドラインではステロイド治療も推奨されている