目次
多系統委縮症 MSA
Tips
臨床分類
診断基準
症状
MRI所見
病理学
多系統委縮症 MSA
目次
多系統委縮症 MSA
Tips
臨床分類
診断基準
症状
MRI所見
病理学
Tips
病理学的には
PD
同様,αシヌクレイノパチーに分類
MSAにおいては特に神経細胞と
オリゴデンドログリア
に不溶化αシヌクレインが蓄積する
成年期(30歳以降)で発症する
PDを疑う患者で腱反射亢進や
口部顔面ジスキネジア
を認めたら可能性がある
首下がり
も MSAの方がPDより起きやすい(実際に
PD
のMDS 2015診断基準では発症10年以内の首下がりは red flag)
臨床分類
本邦で最も頻度の高い病型は MSA-C(旧称OPCA)
起立性低血圧や排尿障害など自律神経症候で初発するものは,シャイ・ドレーガー症候群 SDS
その他,勃起障害(男性),呼吸障害,発汗障害が有名
診断基準
第二回 consensus criteria(2008)
1)
Definiteは病理
Probable
孤発性で進行性かつ成人発症(30歳以降)の疾患で,自律神経障害
2)
に加えて,レボドパの効果に乏しいパーキンソニズムまたは小脳性運動失調を呈するもの.
Possible
probableに満たない自律神経障害(起立性低血圧,勃起不全,排尿障害,頻尿,尿意切迫)はいずれにも必要
Possible MSA-P:急速進行性パーキンソニズム,レボドパ不応性,運動症状出現後 3 年以内の姿勢保持障害,小脳性運動失調,運動症状出現後 5 年以内の嚥下障害,MRI における被殻・中小脳脚・橋・小脳の萎縮,FDG-PET における被殻・脳幹・小脳の代謝低下
Possible MSA-C:パーキンソニズム,MRI における被殻・中小脳脚・橋の萎縮,FDG-PET における被殻の代謝低下,SPECT または PET における黒質線条体系ドパミン作動性ニューロンの節前性脱神経所見
症状
進行期は呼吸障害が予後を大きく規定する
睡眠時の喘鳴 inspiratory sighs や無呼吸などの呼吸障害が致命的となるが,早期から単独で認められることもある
声帯外転麻痺および呼吸中枢障害(延髄縫線核セロトニン神経細胞の脱落)による呼吸不全が起きる
前者は気管切開で解決するが,後者があるため,
気切後も突然死があり得る
こと説明が必要
中枢性にも閉塞性にもSASを起こす
予後予測にPSGが有用
排尿障害時は無理せず早期から間欠自己導尿を導入する方が良い
外尿道括約筋強調不全のため,内服治療は難しいことが多い
病理学的にオヌフ核が変性・脱落する
EMGで
外尿道・外肛門括約筋に神経原性変化
を認める
3)
本邦の指定難病
4)
MRI所見
MSA-C:中小脳脚高信号+萎縮(MCP sign),Hot cross bun sign
MSA-P:鉄沈着による被殻外側部の直線上のT2高信号(SWIでより明確)
病理学
オリゴデンドログリア内に
グリア細胞質内封入体 GCI
(glial cytoplasmic inclusion)を認める
オタマジャクシ様,烏帽⼦様の嗜銀性封⼊体で,ユビキチン陽性,α-シヌクレイン陽性
HE染色(
画像
)や Bodian染色(
画像
)では淡く検出しにくい
構成タンパクはαシヌクレイン
ユビキチン化されているため,ユビキチン染色(
画像
)で検出可能(=
特異的所見
)
ガリアス染色ではきわめて明瞭に黒く検出される(
画像
)
1)
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン 2018より
2)
自律神経障害:尿失禁(膀胱からの尿排泄の制御不全),勃起不全(男性),もしくは起立後 3 分以内に少なくとも収縮期血圧が 30mmHg または拡張期血圧が 15mmHg 低下する起立性低血圧
3)
Sakakibara R, et al. Clin Auton Res 2018; 28: 83-101
4)
難病情報センター 多系統委縮症