目次
Niemann-Pick病 C型 NPC
疫学
症状
診断
治療
参考文献
Niemann-Pick病 C型 NPC
ヒト染色体18番の
NPC1
(患者の95%) または
NPC2
遺伝子の変異に伴う神経変性疾患.
常染色体劣性遺伝
これらの遺伝子は
ライソゾーム
脂質輸送蛋白質をコーディングしている
この輸送蛋白質の機能不全により,
全身のライソゾーム内に遊離コレステロールが蓄積
する
特に
脳神経細胞においてはスフィンゴ脂質が蓄積
する
ミグルスタット
(ブリーザベス®︎;グルコセレブロシド合成阻害薬)が神経症状に対して適応あり.
進行性核上性麻痺 PSP
と同様,
垂直性眼球運動障害+パーキンソニズム
をきたす
疫学
本邦では 2015年12月時点で, 34例のNPC患者の生存が確認されている
西欧での発症頻度を勘案すると, 潜在患者ははるかに多数いると推察されている.
症状
神経症状:小脳失調,構音障害,嚥下障害,知的障害,痙攣,ジストニアなどが進行
とくに
核上性垂直性眼球運動障害
と
カタプレキシー
(笑うと力が抜ける)
1)
は特徴的
MSA や PSP-RSっぽい症状が比較的若年で起きてきた ± 痙攣,カタプレキシー で鑑別上位に
精神症状:成人発症例で多い
肝脾腫,肺症状などの身体症状は神経症状より早期に出現する
が,肝脾腫は年齢とともに目立たなくなり,そもそも認めない場合もある
診断
遺伝子診断:NPC1(95%),NPC2の遺伝子変異を検出
骨髓検査:泡沫細胞
と皮膚線維芽細胞のフィリピン染色による遊離型コレステロールの蓄積を確認
ニーマンピック細胞
画像
:蓄積したスフィンゴミエリンなどの糖脂質を貪食したマクロファージの内部が,脂質の小滴や粒子であふれ細胞質内に細かい空胞や泡沫が形成される.このような泡沫形成細胞を ニーマン・ピック細胞と呼ぶ.主に骨髄や脾臓で観察され,リンパ管,肺動脈,肺胞へも浸潤がみられることがある.ニーマン・ピック細胞は単核.たくさんの脂肪滴を含んでいる 脂肪滴の大きさはほぼ均一.
治療
ミグルスタット(ブリーザベス®︎;グルコセレブロシド合成阻害薬)が神経症状に対して適応あり
発症早期から薬物治療を開始することで, 患者の神経症状の進行を遅らせることができる
嚥下障害,歩行障害,高音障害,ジストニア,カタプレキシ─
参考文献
脳と発達 「総説 Niemann-Pick病C型 (NPC) —病態と診断・治療のポイント—」
J-STAGE
Niemann–Pick_disease
1)
他にカタプレキシ─を起こす疾患としてナルコレプシーがある